東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)147号 判決
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〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無)
二 原告は、その主張の二点において本件審決は判断を誤つた違法があると主張するけれども、その理由のないことはつぎのとおりである。
(一) (本件実用新案公報によれば、本件実用新案の考案の要旨とするところは、その登録請求の範囲の項の記載のとおり、窓枠の下枠の上面に外側障子と内側障子との間へ突出する仕切壁10を設け、内側障子框5の前面に前記仕切壁10の上端上へ突出する傾斜突縁11を設けた構造からなり、これによつて、下枠の上面に沿つて室内側へ流動しようとする雨水は仕切壁10によつて阻止され、また内側障子面を流下する雨水は框の前面の傾斜突縁11によつて仕切壁10の外側へ流下させられて下枠la上を窓外へ流出させられるようにするという作用効果を奏するものであること、そして、その明細書とくにその添附図面(別紙図面のもの)中に示された右以外の原告主張のごとき構造は、単なる実施例における附加的構造として記載されているにすぎないことを認めることができ、この認定に反する証拠はない。すなわち、本件実用新案の目的とするところは、仕切壁と傾斜突縁との前記のような組合せにより、雨水が仕切壁の内側へ浸入することを阻止し、それによつて風雨のさいに雨水が障子の下端と窓枠との間を通じて室内へ浸入することを防止しようとすることにあり、かつ、それ以上には出ないのであつて、原告指摘のような、仕切壁を越えた雨水が屋内に浸入することを防止しようとするものでないことは明らかである。
したがつて、原告主張のように、本件実用新案がその要旨として、登録請求の範囲に記載のもののほか、別件実用新案の構造をも兼ね備えるものと解しなければならない理由はなく、右のような解釈を前提として審決の判断の誤りをいう原告の主張は、採用できない。
(二) つぎに原告は、内側障子の框の前面に仕切壁の上端の上へ突出する傾斜突縁を設けるようなことは、きわめて周知の技術に属する、と主張するけれども、本件実用新案におけるように、外側障子と内側障子との間の位置に設けられた仕切壁との関係で、右のように内側障子の框の前面に仕切壁の上端を覆うような傾斜突縁を設けることが、本件の出願当時周知であつたことを認めるに足る資料はない。原告指摘の第一引例の明細書添附第一図は、外側障子と内側障子との間の位置に設けられた仕切壁の上端を覆うように、内側障子の框前面に傾斜突縁を設けたものではなく、したがつて、内側障子面を流下する雨水を傾斜突縁によつて仕切壁外側へ流下させる作用効果を有するものではないことが認められるから、同図面に記載のものをもつて、本件実用新案のような傾斜突縁を設けることが周知の技術に属することの根拠とすることはできない。したがつて、本件実用新案が第二引例からきわめて容易に考案をすることができるとする原告の主張も、採用することができない。
(むすび)
三、以上のとおり、その主張の点に判断の誤りがあるとして本件審決の取消しを求める原告の請求は、失当として棄却する。(三宅正雄 杉山克彦 楠賢二)